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器楽Ⅴ

2025/12/03
保育・幼児教育
[担当教員] 水町 愛 
[対象学年] 保育・幼児専攻 4年

保育・幼児教育専攻では、入学(1年次)から卒業年度まで、音楽実技指導や音楽を用いた保育実践のための演習を、4年間通して受講することができます。入学時点の音楽経験には個人差があり、初級者には導入教材を用いて読譜や基礎技能の習得を導き、音楽を“用いて”表現活動の実践ができるようになることを目指します。高校生までにピアノ演奏や合唱などの音楽経験を重ねてきた学生さんは、それらのスキルを活かし、さらに高い実践技術の習得を目指しています。

器楽Ⅴ」は、卒業年度を迎える4年生が対象の音楽演習科目です。通年科目を通して、実践の場に備えた総仕上げを行います。最後の実習や就職試験に備えた内容を学んだ前期に続き、後期は主に2月の「卒業演奏発表会」に向けて取り組んでいます。

入学から3年間は、基礎的な理論やスキルを獲得することと、実習時に用いるレパートリー曲を習得することなど、どうしても目先のことを追いかけるのが中心にならざるを得ません。そこでこぼれ落ちてしまいがちなのが、「表現」の要素であると感じています。そこで、卒業演奏発表会に向けた長期に渡る取り組みを通して、自身の演奏する曲をどのように解釈し、演奏(表現)によっていかにして聴き手に伝えるか、を学ぶ機会を持ちたいと考えています。

「卒業演奏発表会」では、個々に(あるいはペアやグループで)選んだ発表曲に取り組みます。何カ月もかけて取り組むに相応しいレベルの楽曲を選び、得意を生かした発表を目指す学生や、あえて苦手分野を克服するために挑む学生、あるいはアンサンブルに挑戦する学生など様々です。そしてここでは、楽譜通りに演奏することの先にある「表現へのこだわり」を大切にしています。聴き手の心を揺さぶる演奏(表現)は、「ここをこう演奏しなさい」との指示通りに行うものではなく、表現者自身がその曲をどのように「感じているか」が重要であることを伝えています。自分がどのような思いで選曲し、その曲のどこが好きか、なぜ好きなのか。出したい音色、伝えたい歌詞、この和音の響き、ここのハモリの美しさ…といった細かいところにも意識を向け、こだわりを持って表現に挑むことは、音や音楽に対する感性を豊かにする経験になると考えます。たった数分のステージで、それらが少しでも伝わるよう、演奏のみならず、演出の工夫についてもアイディアを凝らします。

授業では、個別レッスンやアンサンブル練習、合唱練習等を通して、共に自分たちの演奏の仕上がりを高めていきます。毎週、自身の取り組みの状況を振り返り、記録をまとめながら進めます。また、学生最後の行事としても成功させるよう、学生それぞれが役割を担い、主体性をもって取り組むという意味でも、4年間の集大成と言える学びの成果に期待しています。今年の「卒業演奏発表会」は2月10日に大学チャペルにて開催予定です!

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